治療から「予防」へ。
虫歯や歯周病になりにくい歯にするために

1970年代までは、虫歯が溢れるほどあり、歯科医療の中心が虫歯治療でありましたが、
1980年代頃から徐々に虫歯は減少傾向になり、とりわけ小児の乳幼児から中学生くらいまでの虫歯は、フッ素の普及、幼稚園や小中学校の取り組み、行政の取り組みならびに親御さんの関心の向上等もあって学校健診での虫歯の罹患率はかなり低くなりました。
しかしながら、それに対して歯周病の方は、思春期頃から徐々に増えて成人の約80%が罹患していると言われています。また、歯周病は症状が出るまで比較的時間がかかるため、症状が出るまで放置している人が多いという現実があります。

虫歯や歯周病はお口の中にある菌によって引き起こされる感染症です。
治療をしたからといって痛みは治まったとしても一度失われた歯や歯ぐきは元に戻ることはありません。
これらを防ぐには何より重要なのは日常での歯磨きです。
歯磨きをこまめにしっかりすることで、これらのリスクは大きく軽減することができます。
しかし、適切な時間、回数、やり方で歯磨きをしてる方はごく僅かです。

歯の健康を守るには日々の歯磨きはもちろんですが、定期的な検診やクリーニングといった予防のために歯科医院に通うという事も非常に重要です。

歯周病治療・予防(パーフェクトペリオ)

歯周病の原因は、お口に中の歯垢や歯石に潜む細菌(歯周病菌)と宿主(その人の持って生まれた力)と強く噛む癖等のお口の中の環境が複雑に絡み合って起こる病気です。その中でも主な原因が歯周病菌です。
歯を失う原因では歯周病が一番なのです。

歯周病菌には多くの種類があり、歯垢や歯石が十分に取れていないと、お口の中に数十億個存在すると言われています。
それらの歯周病菌が複雑に絡み、増殖するとバイオフィルムという塊を形成します。
ほとんどの歯周病菌は、嫌気性菌(空気を嫌う性質)であり、歯周ポケットといわれる歯と歯茎の境目のポケット状の隙間で特に増殖します。
バイオフィルムとなった歯周病菌は、歯を支えている骨(歯槽骨)や歯の周りの組織を徐々に破壊していくためそこに炎症が起こり、それが進むと歯茎から出血したり、膿が出たり、腫れたりして痛みを伴ってきます。
そして、口臭がひどくなって歯がぐらぐらと動くまでに進行してしまうと歯を抜かざるを得なくなる場合があります。

また、歯周病は、様々な全身の病気の原因になることがわかっています。
歯周病菌が毛細血管を通して全身の動脈や静脈に入るとアテロームという粘々した餅状の物質が血管の壁に付着していき、血管が狭くなり、動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす原因となります。
血糖値を下げるインスリンの働きを阻害するため、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病のリスクが増加します。
また、お口の中に存在する細菌が食べ物や唾液と一緒に誤って気管支の方に入ってしまうと誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
その他、早産インフルエンザにもかかりやすくなることが証明されており、近年ではがんの進行とも深い関係があることやアミロイドベータ(Aβ)などの異常なたんぱく質が脳に蓄積する認知症(アルツハイマー型認知症)の原因とも言われています。

歯を失ってしまうと再生されることはありません。
歯を失った後、ブリッジや義歯やインプラントといった治療である程度補う方法はありますが、それぞれに一長一短があり、自分の歯にまさるものはありません。

したがって、歯周病によって歯を失わないようにするために、従来からの予防や治療は、その細菌を減らすために患者様にはしっかりと時間をかけて歯磨き(普通の歯ブラシ・歯間ブラシ・タフトブラシ{先が小さいブラシ}およびフロス{糸製のもの}等)をして、歯垢を除去してもらう(プラークコントロール)ことが一番大切であることは言うまでもありません。
また、歯科医師や歯科衛生士がバイオフィルムや歯石等を器械を使って除去することは治療の上では大変重要なことです。

しかしながら、それだけでは不十分であるとして、当院で注目して取り組んできたのが、PPW(パーフェクトペリオ)システムを洗口剤ならびに治療薬として使用し、歯周病予防、治療に応用しています。このPPWは、次亜塩素酸ナトリウムと重炭酸ソーダを混合し電気分解した溶解水であります。この溶解水の濃度の低いものを洗口剤として1日2回、朝晩20秒間うがいをすることによって、歯周病菌を弱体化させ、減少させていくとともに、濃度の高いものは治療薬として応用しています。

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虫歯予防(フッ素塗布)

歯はの表面はエナメル質というとても固い層で覆われていますが虫歯菌が作り出す酸には弱く、溶けやすいという性質を持ち、徐々にエナメル質が破壊され穴が開いてしまうことにより虫歯ができてしまいます。

フッ素を塗布することで歯の表面をコーティングすることになり、耐酸性になり虫歯の出来にくい歯を作ることができます。

また日頃の食生活、ストレス、睡眠不足などによりカルシウムやミネラルが失われていき歯は徐々に溶けていきます。
フッ素は唾液を介してミネラルを取り込み歯を維持するという再石灰化という現象を促進する効果もあり、歯を強くする効果も期待できます。
最近はフッ素入りの歯磨き粉なども市販で販売されていますが、フッ素濃度は低く長期間を要します。
当院では医療機関専門の高濃度のフッ素を使用していますので、定期的にフッ素塗布することで、虫歯予防をすることができます。

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